宅建業免許とは?宅建業法に基づく取得要件・手順・費用をわかりやすく解説

賃貸や売買などの仲介をするためには、宅建業法に基づいて宅建業免許を取得しなければなりません。では具体的にはどのような内容となっているのでしょうか。
本記事では、宅建業免許について、免許が必要な取引を確認したうえで、事務所・人員などの取得要件、申請から営業開始までの手順、費用と期間、専門家へ依頼する際のポイントなどについて解説します。
宅建業免許とは|宅建業法で取得が必要な理由は?

宅建業免許とはどのようなものなのか基本的な事項を確認しましょう。
宅建業免許が必要になる取引
宅建業免許は、宅地・建物の売買や交換を自ら行う場合、または売買・交換・貸借の代理や媒介を反復継続して事業として行う場合に必要です。
継続する意思や販売方法によっては、1回の取引でも該当する可能性があります。一方、自社所有物件を自ら賃貸する大家業は、原則として免許不要です。
ただし、他人の物件の賃貸を仲介・代理する場合や、仕入れた土地を区画して継続販売する場合は免許が必要です。判断に迷うときは、広告の掲載や取引の契約を交わす前に、申請窓口へ確認しましょう。
宅建士の資格との違い
宅地建物取引士は、重要事項説明や契約書面への記名などを担う個人の資格です。これに対して宅建業免許は、会社や個人事業主が宅建業を営むための許可であり、代表者が宅建士資格を持つだけでは営業できません。
免許取得には、事務所ごとに法定数の成年者である専任宅建士が必要です。宅建士は、免許取得の人的要件を満たすために欠かせません。代表者自身が常勤性・専任性を満たす場合は、専任宅建士を兼ねることもできます。
無免許営業の罰則とリスク
無免許で宅建業を営んだ者には、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科され、併科される場合もあります。
法人の代表者や従業員が業務に関して違反した場合は、法人にも1億円以下の罰金が科される可能性があります。
無免許の状態では、宅建業者である旨の表示や宅建業に関する広告を出すこともできません。刑事罰や信用低下、開業延期を避けるため、事業開始前に免許の要否を確認しましょう。
宅建業免許を取得する3つの要件

宅建業免許を取得するためには次の3つの要件を満たす必要があります。
・独立した事務所を用意する
・事務所に専任の宅地建物取引士を置く
・役員などが欠格要件に当てはまらないか確認する
以下順番に詳しく確認しましょう。
独立した事務所を用意する
宅建業免許を取得するためには、独立した事務所が必要です。
宅建業の事務所には、継続的に業務を行える実体と、他の法人や居住部分から明確に区分された独立性が必要です。申請時には、平面図、事務所内外の写真、賃貸借契約書などにより、事務所としての使用実態を確認されます。
自宅の一部を使う場合は、居住部分を通らずに出入りでき、生活空間と明確に分けられていることが重要です。
レンタルオフィスやシェアオフィスも、専用区画や独立性が不足すると認められない可能性があります。判断基準は行政庁により異なるため、物件の契約前に管轄窓口へ確認してください。
事務所に専任の宅地建物取引士を置く
宅建業者は、事務所ごとに宅建業の従事者5名につき1名以上の割合で、成年者である専任宅建士を置かなければなりません。
「専任」とは、原則としてその事務所に常勤し、宅建業務に継続して従事できる状態をいいます。他社で常勤する人や、通常の通勤が難しい遠隔地に住む人は、専任性が認められない可能性があります。採用時は、宅建士証の有効期限や登録上の勤務先を確認し、申請までに雇用関係と常勤の勤務実態を整えましょう。
役員などが欠格要件に当てはまらないか確認する
申請者本人のほか、法人の代表者、役員や政令使用人などが欠格要件に該当すると、原則として免許を受けられません。
破産手続きが終わって復権していない人や、拘禁刑以上の刑の執行終了などから5年を経過していない人、宅建業法違反などで罰金刑を受けてから5年を経過していない人などが該当します。
過去の免許取消しや不正行為、暴力団員等との関係も確認対象です。専任宅建士についても、資格登録と宅建士証が有効でなければ人的要件を満たせません。役員などに該当者が1人でもいると免許は下りないため、役員就任や採用前に経歴を確認し、判断が難しい場合は行政庁や専門家へ相談しましょう。
宅建業免許を取得するまでの手順

宅建業免許を取得するための手順は次の通りです。
ステップ1:事務所と人員を整える
最初に、独立した事務所と専任宅建士を申請書上だけでなく、実体として確保します。
賃貸物件では、契約上、事務所利用や宅建業の営業が認められているかを貸主に確認し、必要に応じて使用承諾書を取得します。
人員は、従事者数から必要な専任宅建士数を算定し、雇用関係と勤務体制を整えます。あわせて、代表者、役員、政令使用人などの欠格要件と、専任宅建士の資格・登録状況を最終確認してください。不備が判明すると開業が遅れるため、事務所写真や契約書類まで事前に点検することが重要です。
ステップ2:申請書類をそろえる
免許申請書のほか、法人の履歴事項全部証明書、誓約書、専任の宅地建物取引士設置証明書、事務所を使用する権原に関する書面、事務所の写真・平面図などを準備します。
必要書類や写真の要件は申請先によって異なるため、国土交通省や都道府県が公開する最新の手引きと様式を使用しましょう。古い様式や登記内容との不一致があると補正を求められ、開業が遅れる可能性があります。証明書の発行日や有効期限も確認してください。
ステップ3:窓口に申請して審査を受ける
事務所が1つの都道府県内だけにある場合は都道府県知事免許、2つ以上の都道府県にある場合は国土交通大臣免許を申請します。
知事免許は都道府県の担当窓口、大臣免許は主たる事務所を管轄する地方整備局等が申請先です。
申請時には、知事免許の申請手数料または大臣免許の登録免許税を納付します。受理後は、事務所の実体、専任宅建士の常勤性、役員等の欠格要件などが審査されます。追加資料や補正を求められた場合は速やかに対応し、申請控えも保管しましょう。
ステップ4:営業保証金を供託するか保証協会に加入する
免許の通知後、営業を始めるには、主たる事務所の最寄りの供託所へ営業保証金を供託し、供託済みの届出を行います。
金額は主たる事務所が1,000万円、従たる事務所が1か所につき500万円です。
営業保証金に代えて、宅地建物取引業保証協会へ加入する方法もあります。弁済業務保証金分担金は主たる事務所が60万円、従たる事務所が1か所につき30万円です。初期負担を抑えられるため、多くの事業者が選択していますが、別途、入会金や会費などがかかります。
ステップ5:免許証を受け取り営業を開始する
営業保証金の供託・届出または保証協会への加入手続きが完了すると、免許証が交付され、宅建業を開始できます。手続き完了前に営業を始めないよう注意してください。
営業開始後は、事務所の見やすい場所に免許証番号などを記載した宅地建物取引業者票を掲示します。ウェブサイトやチラシなどの広告にも、商号や免許証番号等を正確に表示しましょう。
宅建業免許の取得にかかる費用・期間一覧

宅建業免許の取得に必要な主な費用と期間は、次のとおりです。
| 項目 | 費用・期間の目安 |
|---|---|
| 知事免許の申請手数料 | 33,000円(電子申請は26,500円) |
| 大臣免許の登録免許税 | 90,000円 |
| 営業保証金 | 主たる事務所1,000万円、従たる事務所1か所500万円 |
| 弁済業務保証金分担金 | 主たる事務所60万円、従たる事務所1か所30万円 |
| 知事免許の審査期間 | 申請から通知まで約1か月 |
このほか、証明書の取得費、事務所の賃料・設備費、保証協会の入会金・会費などが必要です。書類不備による審査の長期化も考慮し、資金と日程に余裕を持たせましょう。
宅建業免許の申請は会社設立とあわせて専門家への依頼がおすすめ

宅建業免許では、事務所の独立性や専任宅建士の常勤性など、書類だけでは判断しにくい要件があります。専門家へ依頼すれば、物件契約や人員採用の段階から要件を確認でき、申請後の補正や開業延期を防ぎやすくなります。
法人として開業する場合は、会社設立登記を司法書士、宅建業免許の申請書作成や代理申請を行政書士へ依頼する方法があります。両士業が連携する事務所であれば、定款の事業目的、会社設立、免許申請、保証協会への加入準備までをまとめてスムーズに
進められます。
希望する開業日から逆算し、会社設立や事務所契約の前に相談して、必要期間と見積もりを確認しましょう。早期の確認が重要です。
まとめ
本記事では、宅建業免許について解説しました。
宅建業免許は、宅地・建物の売買、交換、仲介、代理を事業として行う会社や個人事業主に必要です。取得には、独立した事務所、法定数の専任宅建士、欠格要件に該当しないなどの条件があります。
申請後も、営業保証金の供託または保証協会への加入を終えるまで営業できません。費用や審査期間だけでなく、事務所確保や人員採用の期間も見込み、会社設立と並行して早めに準備を進めましょう。
不明な点がある場合には許認可の専門家である行政書士と起業・会社設立の専門家である司法書士が連携しているところで相談するのがおすすめです。




