一般社団法人設立のメリットは?手続きの流れや必要書類も解説
「一般社団法人を設立することで得られるメリットとは?」
「手続きが複雑そうで、自分にできるか不安…」
一般社団法人の設立に興味はあっても、「どんなメリットがあるのか」「自分でも設立できるのか」と迷う方は少なくありません。
専門知識が必要で、手続きも難しそうだと感じてしまいがちです。
そこでこの記事では、一般社団法人の基礎知識から設立の全手順、必要書類、費用、設立後の手続きまでをわかりやすく解説します。
この記事を読めば設立までの道のりが明確になり、自信を持って第一歩を踏み出せるでしょう。
一般社団法人とは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」にもとづいて設立される「非営利法人」です。
ここでいう「非営利」とは「利益を上げてはいけない」という意味ではありません。
事業によって利益を出すことは可能ですが、その利益を株式会社の配当のように社員(設立者)や会員に分配してはならないという意味です。
一般社団法人が得た利益は、法人の活動目的を達成するための事業に再投資することになります。

一般社団法人と株式会社には利益の扱いに大きな違いがあり、一般社団法人は剰余金の分配を目的としない「非営利法人」ですが、株式会社は株主への利益配当を目的とする「営利法人」です。
一般社団法人が得た利益は事業活動に再投資され、団体の目的達成のために使われます。
| 項目 | 一般社団法人 | NPO法人 |
| 設立期間 | 約2週間〜1ヶ月 | 約4ヶ月〜半年 |
| 行政庁の認証 | 不要 | 必要 |
| 設立時の人数 | 社員2名以上 | 社員10名以上 |
| 事業内容 | 制限なし | 特定非営利活動20分野に限定 |
NPO法人との違い
同じ非営利法人である一般社団法人とNPO法人はよく比較されますが、設立のハードルと活動の自由度が大きく違います。
一般社団法人は行政庁の認証が不要で、設立にかかる期間が短く、事業内容にも法律上の制限がありません。
そのため、NPO法人よりも迅速かつ柔軟な組織の運営が可能です。
| 項目 | 一般社団法人 | NPO法人 |
| 設立期間 | 約2週間〜1ヶ月 | 約4ヶ月〜半年 |
| 行政庁の認証 | 不要 | 必要 |
| 設立時の人数 | 社員2名以上 | 社員10名以上 |
| 事業内容 | 制限なし | 特定非営利活動20分野に限定 |
株式会社のように利益追求を目的とせず、NPO法人のように活動が法律で限定されず、一般社団法人は柔軟な組織運営を実現可能です。
そのため、学会や資格認定団体から業界団体の組織などで活用されています。
- 学会、協会、研究会
- 同窓会、OB会
- 資格認定団体
- 地域の活性化を目指す団体
- 業界団体
一般社団法人を設立する主なメリットは、以下の3点です。
- 設立コストが低く、少人数でも設立できる
- 事業内容に制約がない
- 収益事業の利益以外は非課税
各メリットについて、詳しく解説します。
設立コストが低く、少人数でも設立できる
一般社団法人は設立のハードルが低く、少人数で迅速に法人格を取得したい場合に適した選択肢でしょう。
資本金のような財産の拠出は不要で、公証人役場や法務局へ納付する法定費用(約11万円)のみで設立できます。
※司法書士に依頼する場合は報酬が発生します。
人数の要件も緩やかで、社員2名以上(理事との兼任も可)の少人数から設立が可能であり、10名以上を要するNPO法人と比較して大きなメリットといえます。
事業内容に制約がない
一般社団法人は事業内容に制約がほとんどなく、株式会社のように自由な活動ができる点もメリットです。
活動が20分野に限定されるNPO法人とは異なり、法律や公序良俗に反しない限り事業内容に制限はありません。
公益的な事業だけでなく、会員向けの共益事業や利益を目的とした収益事業も自由に行えるため、多様な組織の法人化に適した制度といえます。
収益事業の利益以外は非課税
一般社団法人は税法上の大きな優遇を受けられます。
NPO法人と同様で収益事業から生じた所得のみが課税対象となり、会費や寄付金には法人税が課されません。
そのため、収益事業を全く行わない場合は、原則として法人税の納付が不要です。
一般社団法人の設立には以下の2つのデメリットがあります。
- 利益の分配ができない
- 上場できない
各デメリットについて確認しましょう。
利益の分配ができない
一般社団法人は「非営利法人」であるため、事業で得た利益(剰余金)を、株式会社の配当のように社員へ分配することは法律で禁じられており、仮に定款で分配を定めても、その規定は無効です。
出資の見返りとして配当を期待できる株式会社の株主とは異なり、一般社団法人の社員に求められるのは金銭的なリターンではなく法人の理念や活動への賛同です。
上場できない
一般社団法人は株式会社のように株式上場による大規模な資金調達ができず、一般社団法人は事業で得た利益を出資者に還元する仕組みがありません。

活動資金を調達する際は、事業そのもので利益をあげるか返済義務のある「基金」という制度を利用します。
基金とは、社員や第三者から集める法人の活動資金で、出資と違って返済義務を負い、拠出者が株主のように利益分配を受けたり経営の議決権を持ったりすることはありません。
基金は、株式会社の資本金と異なり登記が不要で法人内部の手続きで完結するため、迅速な資金調達が可能です。
ただし、募集には社員総会の特別決議による定款への規定が不可欠であり、一度導入すると廃止できない制約もあるため、慎重な検討が求められます。
一般社団法人を設立するには、以下の6つの手続きを順番に進めなければなりません。
- 社員を2名以上集める
- 定款を作成する
- 公証役場で定款の認証を受ける
- 設立時理事を選任する
- 設立時理事が設立手続きの調査を行う
- 法務局へ登記申請を行う
社員を2名以上集める
一般社団法人を設立するための最初のステップは、「社員」を2名以上集めることです。
「社員」とは、従業員のことではなく、法人の最高意思決定機関である社員総会で議決権を持つ構成員を指し、設立時の理事が社員を兼任することも可能です。
設立時には最低2名の社員が必要で、設立後に社員が1名となっても法人は存続しますが、社員が一人もいなくなると法人の解散事由に該当するため注意しましょう。
社員の資格は個人だけでなく法人も有しますが、法人の支店や営業所は社員にはなれません。
定款を作成する
社員が集まったら、次は法人の根本規則となる「定款」を作成します。
定款には、法律で定められた「絶対的記載事項」を必ず記載しましょう。
「目的」「名称」「主たる事務所の所在地」といった法人の基本情報や、設立時社員の氏名・住所を記載し、社員の資格を得たり失ったりする場合のルールなどを定めます。
記載すべき事項は多岐にわたるため、法務局のウェブサイトで公開されている雛形を参考にすると必要な項目を網羅しやすくなるでしょう。
作成した定款には、設立時社員の全員が記名押印、もしくは電子署名を行ってください。
公証役場で定款の認証を受ける
作成した定款に法的な効力を持たせるには、主たる事務所の所在地を管轄する公証役場で「認証」を受けてください。

認証手続きは、設立時社員の全員が公証役場へ出向く方法のほか、代理人への依頼も可能です。
社員の一部や司法書士などを代理人とする場合は、委任状を作成しましょう。
委任状には法人の実印を押印し、発行後3ヶ月以内の印鑑証明書を添付して提出してください。
認証を受ける定款は、従来の紙媒体だけでなく、PDFを利用した電子定款も認められています。
手続きをスムーズに進めるため、事前に公証役場へ予約して必要書類を確認しておきましょう。
設立時理事を選任する
定款の認証後、法人の業務執行を担う「設立時理事」を選任します。
あらかじめ定款で定めるか、定款認証後に設立時社員の議決権の過半数をもって決定しましょう。
必要な理事の人数は、理事会を設置しない場合は1名以上ですが、理事会を設置する場合には3名以上(一般社団法人法16条1項)が必要です。
設立時社員によって選任された理事は、設立手続きの段階から法人の業務を執行する重要な役割を担います。
監事や会計監査人を置く場合も、このタイミングで同様に選任手続きを行いましょう。
設立時理事が設立手続きの調査を行う
選任された設立時理事(監事がいる場合は監事も含む)は、法人の設立手続きが法律や定款に違反していないかを選任後すみやかに調査する義務があります。

法務局へ登記申請を行う
設立時理事は、調査終了日などから2週間以内に主たる事務所を管轄する法務局へ設立登記を申請しなければなりません。
2週間の期限を過ぎると過料の対象となる場合があるため、厳守してください。
申請後、法務局から特に不備の連絡がなければ、登記手続きは完了です。
この登記が完了した日をもって、一般社団法人は正式に成立します。
一般社団法人を設立するためには、複数の書類を準備しなければなりません。
手続きは、大きく「定款認証」と「設立登記の申請」の2段階に分かれており、それぞれ求められる書類が異なります。
定款認証で必要な書類
公証役場で定款認証を受ける際に必要となる主な書類は、以下のとおりです。
個別のケースによって追加の書類が必要になる場合もあるため、事前に管轄の公証役場へ問い合わせておくと手続きがスムーズに進むでしょう。
- 定款(3部)
- 設立時社員全員の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)と実印
- 実質的支配者の申告書と本人確認書類
- (代理人が行く場合)委任状
- (法人が社員の場合)法人の登記事項証明書
定款は、公証役場保管用、法人保管用、登記申請用の3部を準備します。
また、法人の透明性を確保する観点から、実質的支配者となる人物の申告が求められます。
必要な書類を不備なくそろえ、公証役場での認証手続きに臨みましょう。
登記申請で必要な書類
定款認証が完了したら、主たる事務所の所在地を管轄する法務局へ設立登記を申請します。
登記申請に必要となる主な書類は以下のとおりです。
-
- 定款(公証人の認証を受けたもの)
- 設立時社員の決議書
- 設立時理事の就任承諾書
- 設立時理事の印鑑証明書
- 設立時代表理事の選定に関する書面
- 代理人に登記申請を依頼する場合は委任状
- 印鑑届書
※あくまでも一例にとなります。
書類作成は手続きの中でも特に重要な部分です。
法務局のウェブサイトで最新の書式を確認しながら、慎重に進めましょう。
申請方法にはオンライン申請と書面申請があり、書面の場合は電子証明書が不要で、便利な「QRコード付き書面申請」も利用できます。
一般社団法人の設立には合計約11万2,000円の法定費用が必要で、内訳は以下のとおりです。
| 費用項目 | 金額 | 納付のタイミング |
| 定款認証手数料 | 5万円 | 公証役場での定款認証時 |
| 謄本手数料 | 約2,000円 | 公証役場での定款認証時 |
| 登録免許税 | 6万円 | 法務局での登記申請時 |
これらの法定費用に加えて、法人の印鑑作成費用や収入印紙代(電子定款の場合は不要)などが別途かかります。
司法書士などの専門家に設立手続きを依頼する場合、5〜10万円程度の報酬がかかるため、総額で20万円前後を見ておくとよいでしょう。
登記が完了し法人設立が済んでも、するべきことはまだ残っています。
事業をスムーズに開始するために、以下の届出を忘れずに行いましょう。
| 1. 登記簿謄本と印鑑証明書の取得 | 法務局での登記が完了した後、約1~2週間以内に登記簿謄本(履歴事項全部証明書)と印鑑証明書を取得 |
| 2. 銀行口座の開設 | 登記が完了したら、法人名義の銀行口座を開設 口座開設には登記簿謄本や印鑑証明書が必要であるため、事前に金融機関に必要書類を確認 |
| 3. 税務署への届出 | 法人設立届出書を設立後2ヶ月以内に提出 定款や登記簿謄本、社員名簿などの添付書類が必要 |
| 4. 社会保険・労働保険の手続き | 従業員を雇用する場合、年金事務所での社会保険加入手続きや、労働基準監督署での雇用保険・労災保険の手続きを行う 従業員の給与支払いが始まる前の手続きが必要 |
| 5. 定時社員総会の開催 | 事業年度終了後、定時社員総会を開催し、決算の承認を得る 定時社員総会は、事業年度終了後3ヶ月以内に行うことが一般的 |
| 6. 各種許認可の申請 | 事業内容によっては、特定の許可や認可が必要な場合があり、登記完了後すぐに申請することが求められる |
これらの手続きを適切に行うことで、一般社団法人としての運営がスムーズに進むでしょう。
必要に応じて、専門家(税理士や行政書士、司法書士)に相談することをおすすめします。
一般社団法人の設立方法から費用までを網羅的に解説しました。
一般社団法人は、少ないコストで設立できるメリットがある一方、定款作成や登記申請などの手続きは専門的で複雑です。
司法書士は登記の専門家であり、書類作成から独占業務である設立登記申請まで、すべての手続きを代行できます。
専門家に任せて事業準備に集中したい方は、豊富な実績を持つ司法書士法人トラストへぜひご相談ください。




