商業登記で行う増資手続きとは?増資登記の流れや費用の目安を解説
会社の成長にともなう資金調達のために「増資」を検討するケースは多いでしょう。
実は、増資後には商業登記という法的な手続きが必要です。
そこで本記事では、増資後に商業登記が必要な理由や手続きの流れ、増資登記にかかる費用を解説します。
資本金を増額するメリットも紹介するので、事業拡大を検討している経営者の方は、ぜひ最後までご確認ください。
増資とは、新株を発行するほか、準備金や利益剰余金を資本金へ組み入れるなどの方法により資本金を増やすことです。
本記事では、増資の中でも一般的に行われる「募集株式の発行による増資」を中心に解説します。
増資を行うと資本金が増額するため、法務局に申請し登記を行う必要があります。
ここでは増資後に商業登記が必要とされる理由について詳しく見ていきましょう。
そもそも商業登記とは
そもそも商業登記とは、株式会社や合同会社などの概要を法務局に登録・公示する制度のことです。
登記を完了しないと「会社」を名乗ることができません。
会社を設立するときは、必ず登記を行う必要があります。
また、会社の所在地や代表者を変更するなど、登記内容に変更がある場合は、その都度変更登記が必要です。
増資後に商業登記が必要な理由
増資を行うと、会社の資本金の額や発行済株式数が変わります。
これらは登記簿記載の重要な項目のため、内容が変わった場合は変更登記(増資登記)を申請しなければなりません。
資金調達を目的とする増資ですが、大きく分けて3つの方法があります。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
公募増資
公募増資は新株発行で不特定多数の株主から出資を募る方法で、株式市場を通す必要があり、上場企業がよく用います。
多数の投資家が新株を購入することで株主構成比率が変わってしまう可能性があるため、規模の小さい未上場企業、特に株式の譲渡制限を設けている「非公開会社」では、ほとんど使われません。
株主割当増資
株主割当増資とは、既存の株主に新株の割り当てを受ける権利を与えて行う増資方法です。
すべての株主に新株を割り当てる必要がありますが、株主は必ずしも新株の購入を受け入れる必要がないため、株主構成比率が変わってしまうリスクが生じます。
第三者割当増資
第三者割当増資とは、特定の個人や企業に新株を発行する方法のことで、特定の既存株主だけに新株を割り当てるケースが多く、その他、自社の社員や取引先、取引金融機関などから資金調達を行うケースもあります。
企業が増資を実行するメリットを紹介します。
増資を検討する際は、ぜひ参考にしてください。
返済する必要がない
増資は金融機関などから受ける融資ではないため、返済する必要がありません。

返済のリスクを気にせずに資金調達ができるため、資金繰りに悩まされる心配もありません。
会社の信用度が上がる
増資により、会社の信用度を上昇させる効果があります。
資本金は登記簿に記載される項目であり、第三者が容易に確認できるためです。
実際に、資本金の額が大きい会社は経営が安定しているイメージがあります。
増資を実行できる企業は、それだけ経営状況が順調と解釈されるため、会社の信用度アップに直結するでしょう。
会社の財務を強化できる
増資をすると会社の純資産が増えるため、会社の財務を強化できます。
純資産が増えると、会社の自己資本比率が高くなります。
融資とは異なり返済する必要がないため、資金面のプラス影響のみとなり財務強化につながるでしょう。
資本金の増額を行う際の基本的な流れを紹介します。
流れを把握することで増資手続きをイメージしやすくなるので、確認しておくとよいでしょう。
1.株主総会や取締役会で募集事項を決める
増資を行う場合は、まず会社内部で募集株式の内容を決定する必要があります。
この「募集事項」の決定は、会社の機関構成によって決議機関が異なる点に注意が必要です。
非公開会社の場合は、原則として株主総会の特別決議で募集事項を決定します。
一方で、公開会社や取締役会設置会社では、有利発行などの場合を除き、原則として取締役会が募集事項を決定します。
募集事項として決める主な内容は以下のとおりです。
- 募集する株式の数や払込金額
- 出資申込金の払込期間や期日
- 増加する資本金や資本準備金関連の内容
- 現物出資がある場合は、その可否や資産の内容
現物出資とは、金銭以外の財産を出資する方法を指します。
たとえば不動産、自動車や事務用品に代表される動産、有価証券、知的財産権などです。
また、非公開会社では、株主総会の特別決議によって募集事項の一部を取締役会に委任することも可能です。
これにより、募集株式の上限や払込金額の下限など重要な項目のみを株主総会で決め、そのほかの詳細を取締役会に委任する柔軟な運用もできます。
2.出資希望者へ通知を行い、申し込みを受け付ける
増資の概要が確定したら出資希望者に通知を行い、申し込みを受け付けます。
通知内容は、募集の詳細、出資金の支払い場所(振込口座)などです。
通知を受け取った出資希望者は、申込書を作成して新株発行会社に提出します。
申込書には、名前、住所、希望する株式の数などを記載しましょう。
3.株式の割り当てを決定して通知する
続いて、株主総会や取締役会で出資希望者への割り当てを決定して通知します。
株式の割り当ては、必ずしも希望どおりでなくてもよいのが通例です。
たとえば、100株を希望した方に80株を割り当てることもできます。

4.出資金の払い込み
通知には募集内容や払込期限・振込口座などの必要事項を漏れなく明記し、スムーズな手続きにつなげましょう。
払込の期間を指定することで、計画的に増資手続きを進められます。
申込者は、割り当て確定の通知が届いたら指定の振込口座に出資金を払い込みます。
5.新株の発行、増資登記を行う
出資金の支払いが完了すると、出資者に株式を発行します。
出資金が支払われた段階で資本金増額の効力が発生するため、増資登記を行わなければなりません。
資本金額と発行済み株式数の変動を受け、株式を発行した企業は2週間以内に登記申請を行う必要があります。
増資登記の必要書類は以下のとおりです。
- 株主総会議事録(取締役会議事録)
- 株主リスト
- 募集株式引き受けの申し込みを証明する書面、または総数引受契約書
- 出資金の払い込みを証明できる書面(通帳のコピーなど)
- 資本金額の計上に関する証明書
必要書類に関する不明点がある場合は、司法書士に相談しましょう。
商業登記で行う増資手続きに関してよくある質問と回答を紹介します。
多くの人が疑問に思う内容に目を通しておくと、増資手続きの際に失敗するリスクをおさえられるでしょう。
増資登記にかかる費用はいくら?
増資登記には「資本金の増加額 × 0.7%(ただし最低3万円)」の登録免許税が課されます。
計算の結果が3万円に満たない場合は3万円となります。

また、司法書士に500万円の増資手続きを依頼する場合は4万〜7万円が報酬の相場で、登録免許税や諸費用を合わせ8万〜10万円程度の費用が必要です。
増資後、資本金の額はどのように計算する?
増資によって入金された金額のうち、2分の1以上は資本金に計上する必要があります。
たとえば2,000万円の出資を受けた場合、資本金に計上しなければならない額は 1,000万円以上であり、会社の判断で決められます。
増資後の登記は自分でできる?
増資の登記手続きは自分でも申請可能です。
ただし、株主総会議事録・株主リスト・振込証明書・取締役会議事録・総数引受契約書など必要書類が多く、不備があると登記されない可能性もあります。
自分で行うのが不安な場合は、司法書士に相談しましょう。
増資に関する手続きご相談は司法書士法人トラストへお任せください。
増資は、ただ単に企業に必要な資金を増やせばよいというものではありません。
新株発行の通知から、資金集め、商業登記など、適切な増資スケジュールを組んで進める必要があります。
適切に進めないと、失敗してはじめからやり直すことになりかねません。
司法書士法人トラストであれば、増資スケジュールをしっかりと組み、適切なリードのもと手続きをスムーズに進められます。
各種変更登記にも対応できるため、商業登記関連の手続きを検討している経営者の方は、司法書士法人トラストへご相談ください。
増資とは、資金調達を目的に新株を発行して企業の資本金を増額することです。
資本金の増額により登記内容が変化するため、商業登記を行う必要があります。
融資とは異なり、増資は株主の出資であるため返済義務がありません。
企業の財務強化につながり、事業拡大や従業員増員などに資金を有効活用できるでしょう。
ただし増資手続きは、株主への通知や新株の発行、商業登記など手間がかかります。
自分で行うことも可能ですが、スピーディかつ確実に行いたい場合は司法書士に相談しましょう。




