宅建業許可とは?取得要件から費用、申請の流れまで徹底解説!
「不動産業で独立・開業したい」と考えたとき、最初に乗り越えるべきハードルが「宅建業許可」の取得です。
しかし、いざ調べ始めると「要件を満たしているのかわからない」「どんな書類をどこに提出すればよいのか」「費用は結局いくらかかるの?」といった多くの疑問に直面し、手続きの煩雑さに挫折しそうになる方も多くいます。
この記事では、宅建業を始めたいと考えている方のために、宅建業許可の基本やクリアすべき4つの必須要件、申請から実際に不動産業として運営開始するまでの流れなどについて詳しく解説します。
宅建業許可とは、宅地建物取引業を営むために必須となる、国土交通大臣または都道府県知事からの許可(免許)のことです。
個人・法人を問わず、宅地建物取引業を行う場合は、必ず宅建業許可を取得しなければなりません。
| 事務所の設置場所 | 免許権者 |
| 1つの都道府県内にのみ事務所を設置する場合 | 都道府県知事 |
| 2つ以上の都道府県に事務所を設置する場合 (本店を新潟に、支店を東京に置く場合など) |
国土交通大臣 |
宅建業許可を受けずに無許可で宅地建物取引業を行うと法律違反となり「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」という重い罰則が科されます。
コンプライアンスの観点からも、宅建業許可は不動産業を始めるうえでの絶対条件といえるでしょう。
〇宅建業許可が必要になる場面〇
宅建業許可が必要になるのは「宅地建物取引業」を営むと判断される場面です。
宅地建物取引業法では、宅地または建物の売買や交換、賃貸の代理・媒介を、事業として反復・継続して行うことを「宅地建物取引業」と定義しています。
例えば、不動産会社が分譲地を販売したり賃貸アパートの入居者を募集したりする行為は、宅地建物取引業に該当するため宅建業許可が必要です。

不動産ビジネスを行うかどうかが、宅建業許可の要否を判断する基準となります。
〇宅地建物取引士との違い〇
「宅建業許可」と「宅地建物取引士(宅建士)」はよく混同されますが、全くの別物です。
宅建業許可は宅地建物取引業法にもとづく免許で、宅建業者は宅建業許可を取得して不動産ビジネスを行う事業者です。
宅建士は事業者が行う契約において、顧客に重要事項の説明を行うなど、専門的な業務を担う資格を持った個人を指します。
| 宅建業許可 | 宅地建物取引士 | |
| 対象 | 会社・個人事業主 | 個人 |
| 種類 | 免許 | 国家資格 |
| 役割 | 不動産の売買や賃貸、交換などの不動産ビジネスを営む | 重要事項の説明(物件や取引条件の詳細な説明)などを行う |
宅建業者は、事務所ごとに一定数の宅地建物取引士を置くことが法律で義務付けられており、宅建業者と宅建士は不動産取引を適正に行うためのパートナーのような関係といえるでしょう。
(実際には、社長=宅建士のように、同一人が二つを兼ねるケースが多いと思います。)
宅建業許可を取得する要件を満たしていることが確認できたら、いよいよ申請手続きに入ります。
ここでは、申請から実際に営業を開始するまでの流れを6つのステップで解説します。
1. 申請要件の確認・準備
宅建業許可の申請前には「営業保証金」「事務所」「宅建士」の準備が必要です。
事務所は、独立した専用のスペースを確保する必要があり、自宅兼事務所の場合は居住スペースと明確に区別されていなければなりません。
また、各事務所には、常勤の「専任の宅地建物取引士」を業務に従事する者5人につき1人以上の割合で配置することが義務付けられています。
営業保証金は1,000万円と高額ですが、保証協会に加入し約60万円の分担金を納めることで代用できます。
2. 必要書類の作成と収集
宅建業許可の申請には、多数の書類が必要です。
申請書のほか、法人の場合は会社の「登記簿謄本」や役員全員の「身分証明書」「登記されていないことの証明書」などが必要となります。
個人の場合は、住民票や資産に関する調書なども求められます。
法定様式がある書類もあるため、各都道府県の窓口やホームページで確認し、遺漏なく収集・作成しましょう。
3. 管轄の行政庁へ申請書を提出
書類がすべて揃ったら、1つの都道府県に事業所を置く場合は都道府県の担当窓口(例:北陸地方整備局など)へ申請書を提出しましょう。
複数の都道府県に事業所を構える場合は国土交通省に申請書を提出します。

4. 審査
申請書類を都道府県の担当窓口などに提出すると、行政による審査が始まります。
審査では、書類に不備がないことを確認後、申請者や役員が法律上の欠格要件に該当しないか、事務所が基準を満たしているか(現地調査が行われることもあります)などがチェックされます。
審査期間は、申請が受理されてから30~40日が目安です。
5. 許可通知の受け取り
審査が無事に完了すると、事務所(本店)宛てに宅地建物取引業の許可が下りた旨の通知(ハガキなど)が届きます。

6. 営業保証金の供託(または保証協会への加入)と免許証の交付
宅建業許可の通知を受け取ってから3ヶ月以内に「営業保証金の供託」または「保証協会への加入手続き」を完了させる必要があります。
3ヶ月以内に手続きを完了しない場合は免許取消しの対象となるため注意が必要です。
手続き完了後、行政庁に届出をして初めて「宅地建物取引業者免許証」が交付され、晴れて営業を開始できます。
不動産業で独立する際に「個人事業主」として始めるか、「法人(会社)」を設立するかは大きな悩みどころです。
個人事業主でも事業を行うことは可能ですが、不動産業界では社会的な信用度が重要視されます。
個人というだけで法人に比べて信用度が低く見られる傾向があり、金融機関からの融資が厳しくなったり、取引先との関係構築に苦労したりするケースも少なくありません。
また、情報収集や人脈づくりといった面でも、法人である方が有利に働く場面の多いのが実情です。
総合的に判断すると、不動産業で本格的に独立を目指すのであれば、初期費用や手間がかかったとしても、会社を設立する方が一般的であり、将来的な事業拡大を見据えた賢明な選択といえるでしょう。
不動産業の開業にあたり法人を設立する場合は、司法書士への相談が不可欠です。
宅建業許可の申請は行政書士の業務範囲ですが、前段階である会社設立の登記手続きは、司法書士の業務と法律で定められています。
そのため、会社設立から宅建業許可取得までをワンストップで進めたい場合、行政書士だけでは完結できません。
これから会社を設立して不動産業を始めようとする場合は、まず司法書士に相談すると進み方がスムーズになります。
司法書士が会社設立の登記を行い、行政書士と連携して宅建業許可の申請を進める流れが一般的です。
両方の資格を持つ事務所であれば、より円滑に手続きを進められるでしょう。
宅建業許可の申請は必要書類が多く手続きも煩雑なため、専門家である行政書士への手続き依頼が大きな選択肢です。
行政書士に依頼すれば、事業の開始に不可欠な「宅建業許可」の申請手続きはもちろんのこと、多くの事業者が加入する保証協会への入会手続きも併せて手続してもらえます。
専門家に任せることで、書類の不備による手間取りを防いでスムーズかつ確実に許可を取得できるため、本業の準備に集中できる大きなメリットがあります。
会社を設立して不動産業の開業を目指している方は、司法書士法人トラストへご相談ください。
宅建業を法人で始めるには「会社設立の登記申請(司法書士の業務)」と「宅建業許可の申請(行政書士の業務)」という、異なる専門家の力が必要になります。
司法書士法人トラストには、司法書士と行政書士の両方の資格を持つ専門家が在籍しています。

複数の事務所に依頼する手間・時間・コストを削減し、安心して本業の準備に集中できます。
平成19年の開業以来、多くのお客様をサポートしてきた実績豊富な専門家が不動産業開業を力強くバックアップします。
宅建業許可をスムーズに取得するには、申請書類を提出する前の「事前準備」がすべてといっても過言ではありません。
法律で定められた4つの重要な許可要件をクリアしているかどうかを、あらかじめ確認しておきましょう。
ここでは、申請前に必ず準備・確認しておくべき「事務所」「専任の宅地建物取引士」「欠格要件」「営業保証金」の4つのポイントについて、それぞれ詳しく解説していきます。
〇事務所の設置〇
宅建業を営むには、継続的に業務を行える物理的な「事務所」が必要です。
単に場所があればよいというわけではなく、法律で定められたいくつかの基準を満たさなければなりません。
最も重要なのは「独立性」です。
ほかの法人と同じフロアを共有していたり自宅の一部を事務所としたりする場合、壁や固定式のパーテーションで明確に区切られ、専用の出入り口があるなど、他社の業務スペースや居住スペースから完全に独立した空間である必要があります。
また机・椅子・電話・複合機などが設置され、誰が見ても継続的に業務を行える事務所の形態が整っていることも求められます。
申請時には、事務所の内部・外部・建物の入り口にある看板(社名・屋号)などの写真を提出する必要があるため、計画的に準備を進めましょう。
〇専任の宅地建物取引士の配置〇
宅建業を営む事務所には、必ず「専任の宅地建物取引士」を配置しなければなりません。
「専任」とは、その事務所に常勤して宅建業の業務に専念している状態を指します。
ほかの会社で正社員として働いていたり、毎日通勤することが困難なほど遠方に住んでいたりする場合は、専任とは認められないでしょう。
また、宅地建物取引業免許を申請する会社の監査役は、その会社の専任の宅地建物取引士を兼任できません。

宅地建物取引士の配置人数は、事務所で働く従業員5人につき1人以上と定められており、従業員が5人以下の場合でも、最低1名は専任の宅地建物取引士が必要です。
単に宅建士の資格を持っているだけでなく、常勤性と専任性を満たした人材の確保が、許可を取得するための要件となります。
〇欠格要件に該当しないことの確認〇
宅建業許可を申請するにあたり、申請者本人や法人の役員などが、法律で定められた「欠格要件」に1つでも該当する場合、許可を受けることはできません。
欠格要件には、破産者で復権を得ていない場合や、過去に宅建業法違反で免許を取り消されてから5年が経過していない場合などが含まれます。
また、拘禁刑以上の刑に処せられたり、暴力団員であったりした場合も、刑の執行終了などから5年間は許可が下りません。

申請手続きを始める前に、関係者の中に1人でも欠格要件に該当する人物がいないかの確認をしておく必要があります。
〇営業保証金の供託(または保証協会への加入)〇
宅建業者は、万が一の取引事故から顧客を保護するため、一定額の金銭を準備することが法律で義務付けられています。
金銭の準備には2つの方法があります。
1つ目の方法は、本店で1,000万円、支店1店舗につき500万円の「営業保証金」を法務局に直接預ける(供託する)方法です。
しかし、この方法には開業時の資金負担が大きいというデメリットがあります。
そこで、ほとんどの事業者が選択するのが「保証協会への加入」です。
ハトマークやウサギマークで知られる保証協会に加入し、本店で60万円、支店1店舗につき30万円の「弁済業務保証金分担金」を収めることで、高額な供託が免除されます。
初期費用を大幅に抑えられるため、新規開業の際は保証協会への加入を検討するのが一般的です。
不動産業の開業に不可欠な宅建業許可について、概要から取得までの具体的な流れ、事前に準備すべき4つの要件まで解説しました。
宅建業許可をスムーズに取得する秘訣は、事前の入念な準備にあります。
特に「事務所の設置」「専任の宅地建物取引士の確保」「欠格要件の確認」「営業保証金の準備」という4つの要件は、申請の土台となる重要なポイントです。
これらの準備を計画的に進めることが、成功への第一歩となります。
とはいえ、法人設立と宅建業許可という2つの煩雑な手続きを、ご自身ですべてやり遂げるのは簡単なことではありません。
「手続きが煩わしくて、本業の準備が進まない…」とお悩みでしたら、ぜひ専門家にご相談ください。
私たち司法書士法人トラストは、会社設立から許可申請までのお手続きを一括で依頼いただく事が可能で、お客様が安心して事業の準備に集中できる環境づくりをお手伝いします。




