会社設立の手続きは司法書士に依頼すべき?自分で手続きする場合との違いや費用も解説
会社設立の手続きは、すべて自分で行うことも可能です。
しかし、もし書類に不備があれば設立日が遅れ、融資や取引のタイミングを逃す重大なリスクが伴います。
特に「法人登記」は司法書士の独占業務であり、法律の専門家です。
司法書士に依頼することで、手続きのミスを防ぎ、電子定款の利用でコストも削減できます。
本記事では、司法書士に会社設立を依頼するメリット・デメリットを徹底比較しました。
費用相場や、設立後のサポートまで見据えた事務所の選び方まで、詳しく解説します。
会社設立のためにはさまざまな書類の作成や手続きが必要になるため、専門家にサポートを依頼したほうが安心な場合も多いでしょう。
今回は、司法書士に依頼できる手続きにはどのようなものがあるかをご紹介します。
〇法人登記〇
新たに会社を設立する際は、法務局へ法人登記を行う必要があります。
法人登記は法律で義務付けられているもので、登記することで「会社」と名乗ることができるようになります。
法人登記の手続きは自分で行うこともできますが、書類の作成や法務局への登録手続きには専門知識が必要です。

また、会社設立後も、代表取締役・取締役変更時の役員変更登記や、会社名を変更する際の商号変更登記、会社の本店を移転する際の本店移転登記などが必要になる可能性があります。
その際にも、司法書士に手続きを依頼可能です。
〇定款の作成と認証〇
定款の作成と認証も、司法書士に依頼できます。
定款とは、会社名や事業内容・所在地をはじめ、役員の選任方法や資本金の金額など、会社の基本的なルールを定めたものです。
株式会社の定款は作成後、公証役場で認証を受ける必要があり、これにより法的効果が付与されます。
認証の手続きは、公証役場に事前予約を入れて訪問し、定款の原本や必要書類を提出します。

この一連の流れには複雑な手続きが必要になる部分もあるため、自分で行うには手間と時間がかかります。
専門家である司法書士に依頼すると安心でしょう。
次に、会社設立に必要な「法人登記」や「定款の作成・認証」の手続きを司法書士に依頼することで得られるメリットをご紹介します。
〇ミスを防ぎやすい〇
会社設立時の手続きでは提出する書類が多く、専門的な手続きもあるため、ミスが起こりやすくなります。
例えば、書類に不備があると、法務局での手続きがストップしてしまい、余計な時間と手間を要するでしょう。
司法書士は法律の専門家なので、手続きに関するミスはほとんどありません。
万が一ミスが起こっても司法書士が迅速に修正対応を行うため、本来の業務を止めることなく、安心して任せられます。
〇定款作成にあたってアドバイスをもらえる〇
定款は会社の方針を決める重要事項であり、慎重に考えて作成する必要があります。
初めて会社を設立する際は、株式の譲渡制限や公告方法をどのように決めるべきなのかよく分からないこともあるでしょう。

誰が見ても分かる内容で、自分のイメージに合った会社づくりをするためにはどのような定款を作成すればよいのか、専門家である司法書士からアドバイスをもらえることは、大きなメリットです。
〇定款認証の印紙代がかからずに済む〇
定款の認証を受ける際には、4万円の印紙代がかかります。
これは定款を紙で作成した場合に発生する手数料で、電子定款の場合はかかりません。

しかし、電子定款の場合は書類に電子署名を行う必要があるため、専用のソフト代がかかります。
司法書士に定款認証を依頼する場合は電子定款となるため印紙代は節約できます。
本来専用ソフトにかかるはずだった費用が手数料になるケースもありますが、同じ金額で専門家へ依頼できる点はメリットといえるでしょう。
会社設立のサポートを司法書士に依頼することには、デメリットになる部分もあるでしょう。
また、依頼するにあたって確認しておきたい注意点についてもご紹介します。
〇報酬の支払いが必要〇
会社設立のサポートを司法書士に依頼した場合のデメリットは、報酬の支払いが発生することです。
報酬の金額は、設立する会社の種類によって異なります。
ある法務事務所では、合同会社を設立する場合よりも、株式会社を設立する場合の報酬が4~5万円ほど高くなっています。

同じ株式会社を設立する場合であっても、司法書士報酬の金額は依頼する事務所によって異なるため、事前によく確認しておきましょう。
〇経理業務に関する相談はできない〇
司法書士への依頼を検討するにあたっての注意点として、経理業務に関する相談はできないことが挙げられます。
司法書士は登記申請の専門家であり、税務署への届け出や税務書類の作成などには対応できません。
また、会社を設立するにあたって補助金や助成金の申請が必要になるケースもあるかもしれませんが、司法書士にはそういった手続きを代行する権限を持ち合わせていません。
そのため、自分で手続きするか、ほかの専門家への依頼をすることになります。
手間や費用がかさんでしまう可能性もあるため、経理業務に関する相談を検討している場合は、ほかの専門家とも連携している事務所を選ぶとよいでしょう。
会社設立の手続きを司法書士に依頼する場合の費用相場を確認するために、いくつかの司法書士事務所が公開している費用をご紹介します。
| 株式会社設立 | 合同会社設立 | |
| 司法書士事務所A | 13万2,000円 | 8万8,000円 |
| 司法書士事務所B | 8万8,000円 | 7万7,000円 |
| 司法書士事務所C | 9万5,000円 | 7万5,000円 |
上記のほか、登録免許税や定款認証手数料などの法定費用も必要です。
司法書士法人トラストでは、株式会社設立の報酬は11万円、合同会社の場合は8万8000円となっています。
設立後の会社運営サポートや税務・経理のサポートなども行っていますので、ぜひ一度お問い合わせください。
費用がかかることもあり、会社設立にあたって司法書士にサポートを依頼すべきか迷うこともあるかもしれません。
迷ったときの判断ポイントとして、以下を参考にするとよいでしょう。
〇会社設立に関する知識があるか〇
会社設立に関する知識が十分にあれば、専門家にサポートを依頼しなくてもスムーズに手続きができるかもしれません。
自分で行うことで会社設立の流れをより理解でき、今後の会社運営にも役立つ可能性があると考えるのであれば、司法書士に依頼しなくてもよいでしょう。
しかし、そうでない場合は手続きが負担になるため、司法書士に依頼することをおすすめします。

司法書士に依頼すれば必要書類の作成や確認、登記費用の用意、登記申請などをすべて任せられるため、専門知識がなくても失敗なく会社を設立できるはずです。
〇十分な時間や人手があるか〇
会社設立の準備を進めるための十分な時間や人手があるかも、判断ポイントになるでしょう。
会社設立にあたっては、手続き以外にもやらなければならないことが多くあります。
そのため、すべて自分1人で手続きをするとなると本業に時間を費やすことが難しくなる可能性も否めません。
設立までに時間の余裕がなく、手続きや本業を分担できる人手も確保できない場合は、司法書士に依頼したほうが安心でしょう。
〇会社設立後も専門家とのつながりが欲しいか〇
会社設立後にやらなければならない手続きの中にも、司法書士に依頼できる内容はさまざまです。
例えば取締役が就任・退任した際に必要な役員変更登記や、目的変更登記、増資登記、本店移転登記、会社の経営をやめることになった場合の解散登記や清算結了登記などが挙げられます。
会社を設立するまでだけでなく、将来のことも考えて専門家とのつながりが欲しい場合は、司法書士にサポートを依頼したほうがよいでしょう。
会社設立の手続きを依頼する司法書士の選び方についてご紹介します。
事前に予算や重視したいポイントなどを決めておくと、失敗のない司法書士選びができるでしょう。
〇対応に問題はないか〇
初めて電話で問い合わせたときや初回相談の際に、丁寧に対応してくれるかどうかをしっかりとチェックしましょう。

会社設立を控えた慌ただしい時期だからこそ、対応の丁寧さは重要なポイントになります。
また、メールの返信が遅い、電話の折り返しがこないなどの事務所は選ばないほうがよいでしょう。
事務所の評判を確認するために、実際にその事務所に依頼したことがある人の口コミや感想を探してみるのもおすすめです。
〇料金体系は明確か〇
料金体系が明確かどうかのチェックも欠かせません。

会社設立について調べていると、税理士事務所のHPで「会社設立0円」といった表記を見かけることがあるかと思います。
ただ、少しだけ知っておいていただきたい点があります。
この「設立0円」というケースでは、設立後に税理士事務所との顧問契約がセットになっており、毎月の顧問料が発生する仕組みとなっていることが多いのが実情です。
もちろん、設立後の会計や税務も含めてトータルでお任せしたい方にとっては、安心できる選択肢の一つといえるでしょう。
一方で、
「まずは会社を作るところまでを、必要な分だけ依頼したい」
「設立後の顧問契約は、自分でじっくり検討したい」
という方にとっては、結果的に負担が大きくなる場合もあります。
曖昧な費用項目がある場合は詳細をきちんと説明してもらい、見積書に記載されている金額以外を請求されることはないかを念入りに確認しておきましょう。
また、ホームページに掲載されている料金と見積書の内容が異なる場合は注意が必要です。
納得のいく説明がない場合は、依頼しないほうがよいでしょう。
会社設立の手続きは自分で行うこともできるため、司法書士に依頼するか悩む人も多いでしょう。
そこで、自分で手続きした場合と司法書士に依頼した場合の違いについてご紹介します。
〇費用〇
自分で会社を設立する場合にかかる費用は、株式会社が20万円前後、合同会社が10万円前後といわれています。
株式会社設立費用の内訳は、以下の通りです。
・定款用収入印紙:4万円(電子定款の場合はなし)
・定款認証手数料:3万~5万円
・謄本手数料:1部600円×必要な部数
・登録免許税:15万円か出資額の1,000分の7のいずれか高い額
合同会社の場合は定款認証手数料がかからないことと、登録免許税が「6万円か出資額の1,000分の7のいずれか高い額」であることから、株式会社の設立費用より安くなります。
司法書士に依頼する場合は上記の金額に加えて報酬代がかかるため、自分で設立するよりも費用がかかります。
自分で手続きする場合の労力を考えて、総合的に判断した方がよいでしょう。
〇スピード〇
会社設立にかかるスピードにも違いがあります。
会社設立までにやるべきことは、以下の通りです。
・会社の概要を決める
・定款の作成、認証
・資本金の払い込み
・登記申請書および添付書類作成
・登記申請
合同会社は定款の認証が必要ない分、かかる期間が短くなります。
自分で会社を設立する場合は事前に情報を集めたり、書類に不備があり訂正の手続きをしたりする時間が必要になる可能性があります。
株式会社の場合は1ヶ月程度、合同会社の場合は3週間程度※が目安です。
※実は合同会社は設立費用の安さや経営の自由度の高さなど多くのメリットがありますが、その分設計が複雑で内容を理解して設計するのにかえって時間がかかることがあります。
司法書士に依頼する場合はスピーディーに手続きが進むと考えられるため、自分で手続きするより各段に早く会社を設立できるでしょう。
〇リスクの大きさ〇
自分で手続きする場合と専門家に依頼する場合では、リスクの大きさも異なります。
会社設立にあたって自分で手続きした場合のよくあるトラブル事例を見ていきましょう。
・自分で定款を作成したものの、事業目的が曖昧だったことから許認可を取得できず、変更登記が必要になってしまい、余計な費用と時間がかかってしまった
・設立時の資本金をネットバンクで払込手続をおこなったが、不備があり法務局から補正がきてしまい完了まで時間がかかってしまった
・商号調査が不十分で、すでに他社で使用されている会社名で会社を設立してしまい、商標侵害で訴えられた
・合同会社で設立したが、実際に事業を行うと株式会社の方が良いことが判明し、組織変更登記を行うことで余計な費用と時間がかかってしまった
このようなトラブルが起こるのは、知識と準備不足が原因であると考えられます。
専門家である司法書士に依頼することで、そのようなリスクも軽減できるでしょう。
会社設立にあたり、法人登記や定款の作成・認証業務は専門家である司法書士への依頼が可能です。
依頼することで手続き上のミスが少なくなるだけでなく、定款を作成する際にアドバイスしてもらうこともできます。
また、自分で会社設立の手続きを行う場合と比べて、迅速さやリスク回避の面でのメリットも大きいでしょう。
ただし、報酬の支払いが必要になるため、費用相場を確認したうえで司法書士へ依頼するかを検討してみてください。
依頼する際は慎重に司法書士事務所選びをすることが大切です。
司法書士法人トラストは会社設立について豊富な経験・実績があるため、「忙しくてなかなか手続きが進まない」「会社設立についての知識がない」といった相談にも対応しています。
会社設立後のサポートも充実しており、弁護士・税理士・社会保険労務士など、各分野の専門家とのネットワークもあります。
お手続きの内容に応じて、信頼できる専門家をご紹介することも可能ですので、
「どこに相談すればいいか分からない」といった場合でも安心してご相談ください。




