閉鎖登記簿とは?閉鎖される理由・保存期間・取得方法をわかりやすく解説

不動産や会社の過去の情報を調べたい場合、「閉鎖されている」登記情報の取得を求められるケースがあります。
そうした「閉鎖登記簿」について、不動産を主軸としつつ、会社(法人)の場合も併せて解説します。
閉鎖登記簿について紙の写しを「閉鎖謄本」、データ化した写しを「閉鎖事項証明書」といいます。
この両方についても説明していきます。
閉鎖登記簿とは?通常の登記簿との違い

閉鎖登記簿とは、過去の登記記録が保存されたものです。
閉鎖登記簿とは具体的にどういったものか、通常の登記簿との違いについて解説します。
現在は使われていない過去の登記記録
登記簿とは土地や建物、会社の登記記録が記載されており、誰でも取得可能な公的記録です。
登記簿に記載されている事項について、現況の変化により古くなった記録は停止され、過去の保存記録へと移行されます。
この手続きを登記の閉鎖といい、閉鎖された登記記録が保存されたものを閉鎖登記簿といいます。
たとえば、土地が合筆された、建物が滅失した、会社を清算した場合が挙げられます。
このほかに、コンピュータ化に伴い紙の登記簿からデータへ移行した場合にも閉鎖登記簿が作成されます。
「閉鎖謄本」と「閉鎖事項証明書」の呼び名の違い
閉鎖謄本とは紙の登記簿の閉鎖記録を、紙で写したものです。
また、閉鎖事項証明書とは、閉鎖登記簿の内容をデータで写したものを指します。
両者は保管形式が紙かデータかの違いがあるだけで、中身は同じです。
ただし、取得方法が異なります。
閉鎖登記簿が必要になるタイミング

閉鎖登記簿は、土地や建物などの過去の情報が記録されたものです。
現在の登記簿ではわからない過去の情報を確認したいタイミングで使用します。
土地や建物の過去の使われ方を確かめたいとき
土地の購入や建物を建てる前に、その土地が過去にどのように使われていたかを確認したい場合に閉鎖登記簿を使用します。
たとえば、過去に工場やガソリンスタンドがあると、重金属や油分などで土壌汚染されている可能性があります。
そのほか、過去にお墓があった場合などは、気持ちの面で不安を感じる土地である場合もあるでしょう。
閉鎖登記簿を確認し土地の使用歴を把握しておくことで、対象の土地を購入するかの判断材料となります。
過去の所有者や権利関係の移り変わりを確かめたいとき
不動産について過去の所有者や権利関係の移り変わりを把握することで、物件にトラブルやリスクが潜んでいないか確認できます。
特に、過去の所有者が頻繁に移り変わっていないかどうか確認しましょう。
たとえば、短期間に何度も転売されている場合はその不動産に不自然な値動きや問題がある可能性もあります。
そのほか、近隣トラブルで手放されたケースなどもあり得ます。
閉鎖登記簿を物件売買前に閲覧すると、リスクの把握に役立ちます。
相続や会社の整理で過去をさかのぼりたいとき
相続発生の際に、不動産の沿革を確認する用途で閉鎖登記簿を使用します。
相続税申告の際の必要資料としても活用します。
そのほか、清算された会社は閉鎖登記されるため、清算された会社の役員や商号、本店所在地などを確認する際は、閉鎖登記簿を確認します。
このように、現在の証明書には載らない情報を補完するために、閉鎖登記簿が欠かせません。
登記が閉鎖される主な理由

登記が閉鎖される主な理由について解説します。
登記の閉鎖は不動産のほか、会社(法人)でも発生します。
閉鎖が起こる場合について、不動産の変動、データ化、会社の清算の順で解説します。
土地をまとめる・建物を取り壊す
複数の土地を1つにまとめる合筆や、建物の取り壊し(滅失)が起こると不動産登記が閉鎖されます。
このように、不動産の実際の状態(現況)そのものが変化した際に、古い記録が閉鎖されます。
紙の登記簿がデータ化された
登記所のコンピュータ化に伴い、従来の紙による登記簿からコンピュータによるデータ化に登記情報が置き換えられています。
その場合、紙の登記簿は閉鎖され、データ化された登記情報が保存されます。
なお、閉鎖登記簿についてもデータ化されています。
データ化前の紙の閉鎖謄本は、データ化後の閉鎖事項証明書とは取得方法が異なるため注意しましょう。
会社が解散して清算を終えた
会社が倒産となる場合、その会社は解散され財産関係を整理する「清算会社」となります。会社の債権取り立てや債務弁済、残余財産などの清算が完了すると、清算結了の登記がされ、その会社の登記簿は閉鎖されます。
そのほか、合併や商号変更、本店移転の際も過去の情報が閉鎖されます。
閉鎖後は閉鎖謄本や閉鎖事項証明書を取得すれば、過去の役員情報や本店所在地の情報などを確認できます。
閉鎖登記簿の保存期間と取得できる年数の目安

閉鎖登記簿には保存期間があるため、古い記録は保存期間が過ぎてしまい取得できない可能性があります。
では、自分が調べたい古い登記簿がまだ残っているのか、具体的な保存期間のルールを見ていきましょう。
土地・建物・会社で異なる保存期間
保存期間は閉鎖した日から、土地は50年、建物は30年、会社(法人)は20年です。
(不動産登記規則第28条第4号・第5号、商業登記規則第34条4項2号)
根拠条文はe-Gov法令検索などで確認できます。
ただし、昭和63年7月1日以前に閉鎖された登記簿は保存期間が20年のため注意しましょう。
保存期間を過ぎると取得できない記録
保存期間を過ぎた記録は請求しても取得できない場合があります。
ただし、保存期間を過ぎてもすぐに閉鎖登記簿が廃棄されるとは限らないため、管轄の法務局によっては登記簿の記録が残っている場合があります。
保存期間が過ぎた登記情報が取得可能かどうかは、管轄の法務局へ確認することをおすすめします。
閉鎖登記簿の取得方法

閉鎖登記簿謄本・閉鎖事項証明書を取得する手順を、4ステップで解説します。
データ化後の閉鎖事項証明書はインターネットでどこからでも取得できますが、データ化前の閉鎖登記簿謄本は、登記記録が閉鎖された当時の管轄法務局でしか取得できない点に注意しましょう。
ステップ1:物件や会社の情報を準備する
土地・建物などの不動産の場合は所在地番・家屋番号を用意しましょう。
会社の場合、商号・名称、本店・主たる事務所の住所、会社法人等番号を用意してください。
法人番号は、国税庁の法人番号公表サイトから確認できます。
不動産の地番は日常で使う住所とは異なるため、権利証や登記識別情報通知書、固定資産税に関する課税明細書、ブルーマップ等で確認が必要です。
そのほか、不動産の所在地を管轄する法務局に電話で尋ねる方法や、市区町村役場での確認もできます。
ステップ2:取得方法(窓口・郵送・オンライン)を選ぶ
取得方法は窓口請求、郵送、オンラインの3つがあります。
データ化後の閉鎖事項証明書はオンライン申請が可能ですが、データ化前の閉鎖登記簿謄本は管轄法務局の窓口請求か郵送申請しかできないため注意が必要です。
窓口請求の場合、備え付けられた「登記事項証明書・登記簿謄本抄本交付申請書」に必要項目を記入し、手数料を納めます。
郵送の場合も同様で、申請書に必要事項を記載をし、手数料分の収入印紙を貼り、申請書と切手を貼った返信用封筒を同封して管轄法務局へ送ります。
オンラインで閉鎖事項証明書を取得する場合、「登記・供託オンライン申請システム」で申請を行い、手数料を納めます。
そしてオンラインで申請後、最寄りの法務局等に出向いて窓口で受け取るか、郵送してもらう必要があります。
ステップ3:申請書を記入して手数料を納める
交付請求書の閉鎖事項証明書または閉鎖謄本の欄にチェックを入れ、物件や会社情報、申請者の住所・氏名などを記載します。
交付請求書は法務局の窓口に備え付けられているほか、法務省のホームページでも入手できます。
申請する際の手数料について、令和7年4月1日以降は書面請求が600円、オンライン請求・郵送で520円、オンライン請求・窓口交付が490円です。
納付方法について窓口・郵送申請の場合は収入印紙の貼付、オンライン申請は電子納付です。
なお、登記簿の閲覧の場合は500円がかかり、1通の枚数が50枚を超える場合には50枚ごとに100円がかかります。
ステップ4:閉鎖謄本・閉鎖事項証明書を受け取る
申請後の受け取りは、窓口であれば即日20分前後、郵送・オンライン申請の郵送であれば数日程度かかります。
受領後は所有者履歴や地目、権利関係や会社の役員情報など、必要とする過去情報が記載されているかを確認しましょう。
古い閉鎖謄本の場合、手書き文字で読み取れない場合があります。
また、目的の記録が見つけられない場合もあるため、専門家への依頼をおすすめします。
取得が難しいときは司法書士への依頼がおすすめ

閉鎖謄本や閉鎖事項証明書は個人での取得も可能ですが、古い記録の特定作業や複雑な権利関係(相続、売買や抵当権などの履歴)を読み解くには専門知識が必要です。
これらの情報取得で困った際は、登記の専門家である「司法書士」への依頼を検討しましょう。
司法書士へ依頼することで、遠方の管轄局への取得代行、記録内容の調査、その後の登記などの関連手続きまでをワンストップで任せられ、手間と時間を大幅に削減できます。
まとめ
閉鎖登記簿には現在使われていない過去の情報が記載されています。
そうした情報が必要な際は、窓口や郵送、オンラインで管轄の法務局へ申請を行い、閉鎖謄本または閉鎖事項証明書を取得しましょう。
ただし、閉鎖謄本は、登記を閉鎖した当時の法務局でしか申請できず手間がかかります。
また、必要とする情報の読み取りが難しい場合や、申請に必要な地番の入手に手間取る場合もあります。
そんな時は司法書士に依頼することで、申請のための情報収集や、取得した閉鎖登記簿情報の読み取り、その後の登記関連手続きを任せられます。
閉鎖登記簿の取り扱いで困ったら、司法書士への依頼を検討しましょう。




